今剣とお風呂、その後
「今剣君」
「はい」
「私はあなたとお風呂に入るのは好きです」
「はい」
「でも、胸から手を離して欲しいのです」
「あるじさまのおちち、むにゅ、むにゅってします」
「そうですか。でも、もう触ってはいけませんよ。そういうことは、もっと親しくて、大好きな女の人とするべきです」
「ぼくは、あるじさまがだいすきですよ」
「ありがとうございます。言い方を変えましょう、夫婦になる人か、恋人にやりましょう」
「……そうだ! あるじさま、ぼくと、めおとのちぎりをかわしましょう」
「私は今剣君が大好きです。ですが、夫婦にはなれません。それは、夫婦になる好きとは違う好きなのです。
いいですか。恋愛は、生殖活動の付随物です。遺伝子が好みを嗅ぎ分けるのです。実際、体臭で遺伝子の違いを見分けられるようですし、まあ、より強い遺伝子を残したいので、それに相応しい相手を見つけるのです。それが、恋愛のメカニズムの一部です。私は恋愛に興味があります。どのような感じか、一度は味わってみたいものです。……お付き合いした男性は今までいませんでしたが」
「むずかしい、おはなしですね」
「そうですね。簡単に言うと、今剣君は、家族のようなものです。それで、大好きなのですよ」
「じゃあ。おちち、むにゅむにゅっー! ってしていいですか」
「全然手を離さないので、正直驚いてます。結局振り出しに戻ってしまいました。こら、今剣君。今剣君、さわっ……そこはっ、あっ……」
「どうしてぼくだけ、おやつぬきなんですか」
「自分の胸に手をあてて考えてみろ」
「あるじさまのおちち、ぼくにもあったら、いつでもむにゅむにゅー! ってできたのに」
「貴様……!」
後日、今剣がへし切長谷部から説教を受けていた。