にっかり青江、とばっちり
「あー、主。ちょっといい?」
「何でしょうか」
「洗濯場所に落ちてたよ、これ」
「私の下着……」
「主は、下着だけは自分で洗っているよね。僕が取ったとかじゃないからね? 盗んでないからねー」
「先程、洗濯をしていましたし、それを洗った記憶もあります。ありがとうございました」
「ああ、良かった。さすが主」
「……」
「……」
「…………」
「…………」
「にっかりさん、」
「何?」
「まだ何か」
「――いや、随分可愛らしいものをつけているんだねえ」
「……下着だけは、私のいた時代で使っていたものでないと落ち着かないんです。でも、最近はサラシを巻いているのであまり出番はないのですが」
「サラシ?」
「…………胸だけ、太ってきたんです」
「……」
「……」
「それはそれは。良いことじゃないのかい」
「和服は控えめな胸元の方がいい、と聞きました。それに、本丸は私以外は男の付喪神ですから。その、何かと気を付けようかと」
「後者は誰かに言われたの?」
「歌仙兼定さんに」
「ふーーーん、そっか。分かった。ありがとう。ちなみに、」
「はい」
「女の人のおっぱいは大きくても何ら問題はないと思うよ。歌仙君だってそう感じてるさ」
歌仙兼定が丁度この台詞の時に通りがかったので、にっかり青江は黒い笑顔の歌仙に引っ張られていった。