我ら岩融捜索隊



「この隊の指揮を執ることになった。歌仙兼定だ。どうぞよろしく。只今より、第1回『岩融捜索隊』を結成する。編成は以下の通りだ。

 まずは僕、歌仙兼定。太郎太刀、鯰尾藤四郎、加州清光、鶴丸国永、今剣で行こうと思う。異議のある者は?」

「はい」
「どうぞ、太郎太刀」
「そもそも、この隊が発足した原因をお教えいただきたいのですが……」
「今剣の横暴を阻止するためさ。主は皆も知っての通り、短刀にとても甘い。大福より甘い。容姿に騙されて、短刀と湯浴みするするくらいだ。そのせいで今剣が主の身体を触っては、僕らの精神衛生上、よくないものを引き起こすので、保護者として彼を迎え入れたい」

「なるほど……」
「岩融は今剣の保護者たる存在なわけ?」
「加州清光、いい質問だね。彼らは前の主同士が主従関係であったと今剣から聞いている。彼の抑止力になるはずだ」

「ちなみにどちらが主の佩刀だったの?」
「今剣だよ。彼は義経公の守り刀だったらしいからね」
「それ本当に抑止力になる? 岩融が従僕なら今剣は言うことを聞かないんじゃない?」
「……」
「ちょ、おい! 目を逸らすなよ!」
「他に質問がある者は?」
「おいっ」

「……鍛刀では岩融は出なかったんですか?」
「ああ、そうなんだよ、鯰尾藤四郎。というより、主が資材を少な目にして鍛刀する傾向があるのでね。僕が進言しなければ、大太刀が3本来ることはなかっただろう」
「へえ、倹約家というか吝嗇家というか……」
「政府からは1日、1種類につき1440個ずつ資材が届くらしい。大分貯めこんでいるから、もう使っても良さそうなんだが」

「歌仙、せいしんえいせいってなんですか?」
「今剣。君が主と風呂に入ってしてきた数々の諸行を思い出せば分かるだろう。それをわざわざ我々に報告してきたせいで被害が……」
「え? にょにんのおちちは、もむためにある。おとこならば、りそうのものをつかめって、岩融が」
「やっぱり岩融を捜したらいけないだろこれ!」

 加州清光のキレのあるツッコミが入った。

「というか……、ひとついいか?」

 ここで、今まで黙っていた鶴丸国永が手を挙げる。

「何かな?」
「いや、歌仙。君じゃなくてね、今剣だ」
「なんですか?」
「主の乳はどのくらいあるだろうか?」
「うーん、…………鶴丸のてにあまるとおもいます!」

『もうその話はいいから!!』

 歌仙と加州の声が本丸に響いた。




 岩融捜索隊は、その後様々な場所へ赴いた。なかなか見つからなかった。各々の練度は確実に上がった。もしやと思い、鍛刀したがダメだった。

 結局、岩融がやって来たのが、通算200回目の出陣だったことをここに記しておく。