雑記

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文系理系のSS会話

薬研と審神者の短い会話。
前サイトのアンケお礼だったので、こちらに

「大将、あんたは料理が下手なんだな」
「はい。お恥ずかしい話ですが、今まで勉学に励む日々でして。母からは料理も何も仕込まれていないのです。せいぜい裁縫と掃除くらいしか人並みに出来なくて」
「俺っちや歌仙、燭台切がいるから飯には困らねえだろ。どうして大将は今、料理を覚えようとしてんだ?」
「『皆さんに、私がいた時代の料理を食べさせたい』から」
「なるほど? それが建前なんだな。本音は」
「お礼をしたい方がいまして。私には、感情のままに歌を作り送ることも、茶を点てることも、いい品物を目利きする力もありません。料理なら、まずは身近に出来ることかと思いましてね」

「了解。ちなみに俺は聞いた話を3歩歩けば忘れちまう鶏みたいな野郎でな。ま、料理ならいくらでも教えてやるぜ」
「……。ふふ、そうですか。ありがとうございます、薬研君」
「ったく、その刀剣は幸せだな。大将にこんなに気にかけてもらえるなんて、あっ! 大丈夫か!」

「大丈夫です。包丁で少し指を、あっ、」
「まったく、大将ともお方が刃で傷を作るとはな」
「薬研君、くすぐった、……」
「ん、俺も少しくらい、いいだろ。役得ってやつさ」

「指先を舐めるよりは直ぐに消毒を……」
「唾液でもいいんじゃないか」
「唾でもつけて、ですか。逆に悪化する恐れもありますよ。ちょっとの切り傷なので大袈裟ですし。それに、何もあんなに執拗に舐めなくても良いのではないでしょうか?」

「はは、大将は恥ずかしいと饒舌になるんだろ。俺、知ってるぜ」

 その後、口をきいてくれなくなったので、薬研藤四郎は慌てて弁解したのだった。からかいすぎも程ほどに、と胸に刻み付けて。
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